【分析】続編:だらだら投資は、投資効率の最適化に長けた投資方法…でもない?

http://d.hatena.ne.jp/daradaratoushi/20101027/1288181217 でだらだら投資が投資効率最適化に効率的かもしれないという仮説と検証を書きました。いやーしかし市場は甘くない。同じような検証を2011年2月10日実績ベースでやってみました。

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細かく毎日注文を出し、あるカテゴリーが高くなれば細かく売り、あるカテゴリーが安くなれば細かく買う、上下変動に応じて買い付け/売却額を変動していき、アセットアロケーションを修正していくという「だらだら投資」スタイルが確立して、1年半くらいになります。


本当にこの「だらだら投資」が功を奏しているのか、ちょっと調べてみました。あら怖い。


方法はきわめてシンプル。過去のポートフォリオを取り出し、そこに今の銘柄価格をぶちこんでみます。そして、評価額の元本比率を出します。


過去の時点のポートフォリオを維持していた場合、パフォーマンスはどうなるかをみるわけです。


これで「何もしなかったほうが、パフォーマンスがよかった」となったら、私の負けです。だらだら投資で毎日胃をいためながらパソコンに向かってたのは、結果的に無駄な努力となります。おおおおおそろしや。そんなデータとったの誰だよ(自分だよ)


というわけで、データがこちら。その日付のポートフォリオに、2/10時点の価格と為替相場をぶち込んだ「もし2/10時点の価格&為替だったら元本比率」です。カッコ内は、その日時点の実際の元本比率です。

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2011/2/10  107.17%
2011/1/13  106.91%(106.26%)
2010/12/15  107.01%(104.91%)
2010/11/15  107.47%(101.83%)
2010/10/4 107.42%(98.6%)
2010/9/17 107.62%(99.4%)
2010/8/30 107.62% (94.24%)
2010/7/26 107.62% (97.78%)
2010/6/8 105.96% (95.64%)
2010/4/27 105.16% (110.09%)
2010/3/30 105.39% (107.07%)
2010/2/26 105.48% (98.22%)

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もうね、散々(笑)


このデータを読み解く限り、「2010/7/26以降お前がしてきた運用は無駄!」ということになります。放っておいたほうがパフォーマンスがよかったということなので。まあ実際は、イコール無駄とは限らないわけですが(後述)それにしてもパフォーマンス向上施策の停滞っぷりが露呈しております。なさけねー。


しかしそれだけの感想ではこの推移を読み解いたことにはなりません。なぜなら、2010年9月中旬以降は、相場のトレンドが下降から上昇に切り替わったからです。特に2010年9月17日は為替介入の前後。そして11月初旬には先進国株が大幅に上昇しています。これが大きかった。


何がいいたいかというと、上昇トレンドで積立投資をするということは、平均購入単価が上昇するということです。平均購入単価が上昇すれば、その上昇以上に上昇カーブを描かなければ儲けは出づらくなります。おそらく平均購入単価最低ラインのピークが2010年の8〜9月でした。そういう意味で、当時のポートフォリオを維持したまま株価が上がれば、当然儲かる率は上がるわけです。


しかも、私が実践してるのは、株高の際は株式の保有率を下げる運用です。だもんで、株高がずっと続くとパフォーマンスは低迷期のポートフォリオよりも下がります。実際、夏頃のポートフォリオを維持していればおおよそ0.5%以上パフォーマンスは上がっただろうと試算できます。だけどもあえてそうはしていない。株が下がるリスクを想定し、部分利益確定という「保険」をかけてるためです。


だけど、それを差し引いても見逃せないミスがあります。2010年11〜12月の間にパフォーマンスを0.4%も下げてます。何が原因か、はっきりわかります。「売りすぎ」です。


このときの自分は、騰落レシオの高騰などから、市場が過度に加熱しているとみてました。そして、冬の到来と共にもっと市場が不安定になり、株がぐっと下げるのではないかと予想してました。そのため、過度に下落リスクをおそれ、本来調整で売るべき量以上の株式を売却してしまったのです。特に新興国株式においてそれが顕著でした。その結果、数ヶ月先のパフォーマンスをぐっと落としてしまったのです。


やるべきだったのは、もっと緩やかなアセットアロケーションの変更でした。どうせ利益確定するなら、緩やかに、もっと細やかに、繊細に売ればよかったのです。しかしこのときの自分は、現金預貯金の減少などを引き金に、相当ナーバスになっていました。冷静に考えればわかるのに、甘い見通しでせっかく積み上げた口数を過度に削り続けてしまったのです。売った後に、更に新興国株と先進国株が値を上げました。これは大きな誤算でした。


以後、この教訓をもとに、特に部分売却の判断は、より細やかにやっていこうと思います。これは現在もやってますが各クラスのアセットアロケーションの変更は、0.2〜0.5%単位で実施します。細やかで小回りきく取引ができるのが、だらだら投資のいいところですから。

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しかし反省だらけのこの期間の運用にも、いいところはあります。それが「リスクの最適化」です。


さっきは、過去のポートフォリオに現在の価格をあてはめて試算しましたが、今度は間逆のことをやってみます。今のポートフォリオに、低迷期の価格をあてはめてみます。するとなかなか悪くない結果がでました。

というわけで、データがこちら。2/10付のポートフォリオに、各日付時点の価格と為替相場をぶち込んだ「もし2/10時点のポートフォリオを過去にもってたら価格&為替元本比率」です。カッコ内は、その日時点の実際の元本比率です。

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2011/2/10 107.17%
2010/10/4 99.24%(98.6%) +0.64%
2010/7/12 98.34%(96.99%) +1.3%

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株を売って債券を買い、リスクを下げているので当たり前といえば当たり前ですが、株の下落リスクへの耐性が強くなっているのがわかります。他にも試算してみたら、7月にやってきたような元本比率92%クラスの下落だと、おおよそ+2%、つまり94%台のパフォーマンスまで是正されてました。これは大きい。


先ほど「保険」と書いてたのは、こういう意味合いからです。個人的には「株高のときに株安に備える」「株安のときに株高に備える」が投資の鉄則だと思ってます。下がってから「しまった、現金もないし買い増しもできない!債券クラス残しておくんだった!」と思っても遅いわけです。


多少パフォーマンスが落ちてもかまわないので上昇時にはリスクを少しずつ下げていき、将来の下落に備える。そのことが精神的な安心感ももたらします。売りすぎという反省材料は出ましたが、この反省を踏まえ、より適切なタイミングと割合での調整売却を続けていこうと思います。


まあ、書くのは簡単だけど、こんなのプロでも難しいんですけどね……。とりあえず決められたルールに従い、日々運用するのみです。