東京ヴェルディファンド。

「投資会社、東京ヴェルディ再生ファンド ファンのアシストを!」
投資ファンドを企画運営するミュージックセキュリティー
(東京・千代田、小松真実社長)はサッカーチーム
東京ヴェルディ東京V)」向けのファンドを組成した。
ファンから募った出資を選手育成などクラブの運営費に
充てるもので、サッカーチームを応援する金融ファンドは
日本で初めての試みという。
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hotnews.aspx?id=AS3S3000Q%2001122009

プロスポーツにもコンテンツファンドの波が押し寄せてきたか。なかなか感慨深くもあり、また前途多難だなとも思う。

半年くらい前に、この未曾有の不況のなかでいったい誰がコンテンツの制作を担保するのか考えたことがあった。

広告産業が衰退していけば、マスメディアがコンテンツを育てていく時代はおそらく終焉を余儀なくされる。

だったらユーザーがお金を出して、コンテンツをつくっていけばいいじゃないかという発想にいたるのは、きわめて自然な流れだ。

そこで何件かコンテンツファンドの事例を調べてみた。

成功事例としてよく語られるのは「フラガール」だ。制作費のうち46億円を投資家から集めて、見事に興行も成功。投資家にも配当金がはいったという。

だけども、ぶっちゃけて言って、成功事例らしき成功事例って、これくらいだったりする。 そのフラガールファンドだって、金融商品としてみたらハイリスク・ローリターンで、評価は厳しくならざるをえない。

これがタニマチ気分の「カンパ」ならいいんだけど、コンテンツファンドだってファンド。「投資」である以上、リスクに見合うリターンが必ず求められる。

ここにコンテンツファンドの難しさがある。どうしたって、コンテンツ商売なんて、
ハイリスクローリターンになってしまうのだ。例えば自分がヴェルディサポーターだとして、5万円くらいファンド投資するとしよう。

だけどチーム成績が上がれば必ず評価額があがるとは限らない。現在の経営環境を考えると
元本割れの可能性は極めて高い。

さらに冷静に考えて、一部のクラブを除いてJリーグクラブの経営は前途多難だ。

ましてヴェルディなんて、読売に逃げられ身売りした上で、カネが足りないから出資を募ってるのだ。企業としての魅力はDランク以下でしかない。下手すれば破綻だ。

破綻しないように支えるのだというロジックがあるかもしれないけど、破綻を前提とした融資は融資としての体はなさない。それではやはり、ただのカンパだ。駅前で募金活動でもすればよい。

出資する以上は、たとえば「高年俸ベテラン選手のリストラ」とか、「名物監督の更迭」とか、本来はサポーターが願わないことに対しても企業に対し要求する立場に置かれることもあるのだ。

そう考えると、コンテンツビジネスには、ファンドという形態はそぐわないのかもとも思う。FCバルセロナのソシオみたいなものが一番理想なのかも。

それか、損失を損失と思えないくらいにファンドを思いっきり小口化してしまうかだ。一口1,000円にしてしまい、小学生でも買える規模にする。「ほぼカンパ。戻ってきたらラッキー」くらいの気持ちならサポーターもお金を出しやすい。

その代わり、集めたお金の使途は明確にし、きちんと収支報告し、クリアにする。それくらいやれれば、このファンドも前に進むかもしれない。

まあ、例えばレッズが「レッズファンド」とか出したら、僕は買うと思うけどね。

けどあまり大口投資すると、愛情が憎悪に変わることが増えると思うし、ヴェルディサポーターの皆様には気をつけてもらいたいものです。

「俺はヴェルディでへそくりの100万円すった!」なんて、言いたくないでしょ?だったら最初から寄付のほうが割り切れていいやね。

カネの切れ目が縁の切れ目にならぬよう。

ヴェルディさん、再建、がんばってください。